コイルライン、レベラー、プレス周辺搬送などを中心とした自動化装置メーカーであり、50年以上の豊富な経験と実績があります。生産工場における自動化、効率化、省エネ化を支えるパートナーとして、お客様のものづくりに寄り添います。
語り手
代表取締役社長 辰巳芳丈
資材グループ主任 森井啓太
営業技術部 岡翼
経営管理部 谷口星
経営管理部 小池凪

秘伝のタレを継ぎ足すように

創業1937年、ユタニの歴史は旋盤一台で部品を加工する小さな鉄工所から始まった。工場の自動化が広がり始めた1960年代、部品加工だけでは面白くないと、二代目が組み立てを引き受けて次の工程へと仕事を広げていき、現在は4代目の辰巳社長のもと自分たちで設計した機械を作って直接エンドユーザーへ手渡すところまで歩みを進めてきた。「ありがたいことに今、お客様や関連メーカーからは早い段階で相談をいただくことが多いので、会社として期待されているのを感じます。プレッシャーもありますが、その期待に応えられるところまで来ていると思っています」と社長は語る。
手がけるのは自動車や家電、建材の工場で部品を作るために使われる生産設備。いわば「ものづくりのためのものづくり」だ。加工、溶接、塗装、組み立て、試運転ののち一台の機械が完成し納品した後も、現地で設置を行い、その後何十年と続くメンテナンスにも対応する。「同じようなものづくりをしている会社がたくさんある中、時代が進むごとに淘汰は起こります。生き残るには安さなのか、早さなのか、先を走っているメーカーがやらない仕事を引き受けなければという背景がありました」。
これまで製造してきた機械は7000件を超える。「全部をゼロからつくるフルオーダーではなくて、これまで積み重ねてきた知識や技術をベースにお客様の要望に応えていくセミオーダースタイルです。秘伝のタレにちょっとずつ加えていくみたいな感じですね」。当然、取引先とは息の長い付き合いになる。顧客から厳しい言葉を受けたことは数えきれない。機械が思うように動かず、返されたことも、社員総出で夜中まで対応したこともある。それでも高価な設備を途中で投げ出すことはできない。安全に稼働するところまでつくりきる、その覚悟がユタニのものづくりを支えてきた。
「合理的に考えたら、つくる機械を一つに決めて、年間100台つくるほうがいい。でも、みんなが同じ機械を使ったら、お客様のものづくりまで均一化してしまう。僕らの存在意義もなくなる。うちの機械でお客様がオリジナルのものづくりをしてくれたら、日本のものづくりがもっと強く、面白くなるかもしれない」と社長は語る。
失敗にも、それぞれ色がある

山あり谷ありの道のりから生まれた経営理念は「非合理への挑戦」「失敗からの進化」。社員が目につく場所にも、この言葉が貼られている。印象深かったのは「失敗にも、それぞれ色がある」という社長の言葉だ。「現場では予測不可能なことが起きる。いつでも、どの社員が行っても機械が安全に動くようにして帰ってこなければいけない」。だからこそ、教える側も教わる側も共に育つ「共育」が必要だという。それぞれの失敗に違う学びがある。教える側も自らの技術を見直し、失敗を怖がらず次へ進む糧とする社風を作っていくことが、確かな技術や安全性、新しい挑戦にもつながっている。具体的な方法として辰巳社長が6年ほど前から取り入れているのが、社員一人一人に目標を書いてもらう取り組みだ。
「部品が一つ足りないだけで、組み立てが止まってしまう」と話すのは、資材調達を担当する入社6年目の森井さん。現場全体の流れを見渡し、仕事が滞りなく進むよう支えることが、自身の目標であり挑戦だという。昨年、管理部初の女性新入社員となった谷口さんは、大学で学んだデザインを生かして、入社1年目からマスコットキャラクターや指針書の制作を担当した。「日本のものづくりを残していくには、もっともっとデザインの力がいるんじゃないかと思ってます。10年、20年後には、デザインの力で製造業をもっと一般の人にとって魅力的なものにしていきたい」と意欲を見せる。今年入社した小池さんもそんな谷口さんの背中を見ながら、今後は得意の外国語を海外との取引に活かしたいと目標を立てる。それぞれが「自分だからできること」を探し、会社の中に新しい響きを生み出そうとしている。
働きやすさへの挑戦が未来をつくる

挑戦を支えるには環境づくりも大切だ。この数年で工場内の空調や食堂など共有スペースが改装され、社員が安心して快適に働ける空間へと大きく生まれ変わった。「暑い現場や外回りから帰ってくると、工場が涼しくてほっとします。働きやすいです。いつも社員のことを考えて環境を整えてもらっていると感じています」と営業部の岡さん。辰巳社長が目指すのは、「社員全員が安心した状態で、充実感と誇りを持って働ける会社」だ。
5年前からはじめたFactorISMへの参加も、挑戦を支える環境づくりのひとつだ。工場を開き、ものづくりをどうすれば楽しく伝えられるかを社員自身が考える。最初は一人で始めた取り組みが、新入社員や若手を巻き込み、社内に新たな動きを生んでいる。「人を巻き込むことから逃げたら、そこで止まってしまう。みんなでやることで、喜びも増えていく。その経験がちょっとずつ広がって積み重なっている気がします」。
旋盤一台の小さな鉄工所から始まったユタニ。その歩みは機械をつくるだけではなく、挑戦や失敗から得たものを受け継ぎ、人を育て、ものづくりの文化を育てる歩みでもあった。難しい仕事に挑み続ける覚悟、失敗から学ぶ姿勢、人から人へと知識や技術を伝える言葉、その響き合いがユタニという会社をつくり、次の時代のものづくりへと受け継がれていく。